「土日の着信に怯える日々」を卒業。SEから内部監査へ。23年目の私が「キャリアの切符」を捨てて得たもの。

キャリア

はじめに:今のまま働き続けることに「迷い」を感じているあなたへ

深呼吸をした時、体に痛みを感じるほど追い詰められていませんか?
私は2000年に入社し、以降23年間走り続けたSEから、2023年に、内部監査へ自ら手を挙げて異動しました。
それから3年が経ち、現在の満足度は「6:4」です。
100%満足とは言えないけれど、あの時の決断は間違いではなかったと言える理由についてお話します。

決断の引き金:身体と心が発していたSOS

肉体の限界

私は当時から裁量労働制の働き方をしていました。
そのため、勤務時間を細かく管理される形態ではありませんでしたが、何かあったときのために、勤怠の記録は手帳につけるようにしていました。
当時の残業時間のピークは約130時間でした。
そのうち、呼吸をすると身体の右下の肋骨部分に鈍い痛みが出るようになりました。
整形外科に行き、レントゲンを撮影しても「原因不明」との診断でした。
「このままでは私の身体は壊れてしまうのではないか」という本能的な懸念がありました。

精神の摩耗

当時、私はプロジェクトマネージャーとして官公庁のお客様システムの運用保守と、次期システム更改に向けた提案業務の両方を担っていました。
休みの日でも、常に社給携帯電話とプライベート携帯電話の両方のスマホを気にし、いつかかってくるか分からない休日電話への恐怖を抱えていました。
休みの日でも、心から休めていない感覚がありました。

価値観の激変

そのような状況のなかで、人生の優先順位を180度変えるような出来事が家族に起きました。
詳しくは書くことができませんが、その出来事以降、今は何よりも大切な人たちと過ごす時間、心身の平穏を守ることが、私にとっての正解になりました。

キャリアの再定義

当時、私にSEとして幹部昇進の話があり、私も受けるつもりではいましたが、組織の事情で来年に持ち越しとなりました。
一方で、家族に起きた出来事は「夫婦二人、穏やかに過ごせるだけの収入があれば十分」という考え方を芽生えさせるものでした。
これは、QOL(生活の質)を重視する生き方へのマインドシフトでした。

迷いを整理し、一歩踏み出した「思考のツール」

マインドマップでの本音抽出

マインドマップを使用し、中央に「なぜ転職したいのか」をテーマに、思いつくことを書き出しました。
負の感情もすべて可視化しました。
マインドマップを使用するときは、手書きで紙に書き出すのがコツだと思います。
その理由は、手を動かすことで思考が整理されるからです。

頭のなかでもやもや考えているだけだと、結局思考が堂々巡りをするだけになりますので、このアプローチは効果がありました。

メリットとデメリットを表にして整理

「現職に留まるケース」と「異動するケース」それぞれ、メリットとデメリットを表に書き出しました。
正直、どちらにもメリットとデメリットがあり、甲乙つけがたい感じでした。
決断をするときに意識した言葉として、文豪・武者小路実篤氏が遺した言葉「この道より我を生かす道なし この道を歩く」。

現職に留まるメリットデメリット
影響度:大・今の人間関係を手放さずに済む
・お客様からも一目置かれていて居心地が良い
お客様や仕事からのプレッシャーおよびストレスは今後も続く
影響度:小・これまでのキャリアを継続できる
・昇進の可能性がある。
異動するメリットデメリット
影響度:大今のお客様や仕事のプレッシャー・ストレスから解放される。人間関係を1から構築しなければならない(合わない人がいるかもしれない)
影響度:小・昇進は困難
・PMとしてのキャリアは終わる

家族や親族への相談

妻や親兄弟、親族に相談しました。
誰からも「辞めるな」という意見はありませんでした。
親からは、引き止められそうだな、と思っていましたが「異動したほうがよい」という意見だったのは、意外でした。
当時の私は、よっぽどしんどそうに見えたのかもしれません。
特に印象に残ったのが、伯父からの「自分だったら新しい景色を見てみたい」という言葉でした。


決めてになったこと

甲乙つけがたい選択肢のなかで、道を選択するうえでの決めてになったことは「これから自分が何を大事にしたいのか」という価値観でした。
家族の出来事もあり、私が最も大事にしたいのは「穏やかな生活」でした。
そして、もっとも避けたいのは、休日に仕事の電話に怯える生活を続けることでした。
この、「自分がこれから何を大事にしていきたいか」を考えると、答えは自然に決まっていくことができました。

異動して見えた「想定外の景色」

失ったもの

前のプロジェクトは2013年の11月から担当し、2023年3月時点でしたので、もうすぐ満10年という状況でした。
その間は、失敗したことや大変だったことが多くあり、お客様からの信頼を失う出来事も経験しましたが、なんとかリカバリーをし、再びお客様からの信頼を得られるようになり、客観的にも一目置かれる存在になれていたと思います。
そのような職場環境を離れることは、約10年近く築いてきた人間関係や立場を捨てることになりますので、「本当にそれでよいのか?」と最後まで悩みました。

得たもの

家族に起きた出来事で、電車に乗ることに不安を感じていた私にとって、新しい職場はテレワークが許されることは大きかったです。
またオフィスも自転車で通勤できる距離になりました。
そして何より「休日の突然の電話におびえない、穏やかな休日」を得ることが出来ました。

人生の予想外と希望

昇進の道は諦めて異動しましたが、予想外にも1年で昇進の声がかかりました。
その時は、まだ心の準備ができておらず、やります、とは返事はできませんでしたが、一定の評価をいただけていることはありがたいことだと思いました。
SE時代の現場感覚や論理的思考は、内部監査という新天地でも最強の武器になりました。

おわりに

環境を変える勇気に必要なことは、自分を大事にすることだと思います。
コンフォートゾーンを出るのは怖いですが、自分を守れるのは自分だけ。
身体の不調を抱えながらまで働く必要は本当にあるのでしょうか。
あのとき環境を変えた自分を、私は今、十分に褒めてあげたいと思っています。

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